なぜ「意識の高い学生」は人の心を動かしたか

先週あたり、僕の周りで流行ったTwitterアカウントがあります。



その名も、「意識の高い学生」



住んでいる場所は「3m上空」


アカウントは「@omaehikui」


ツイート内容はこちらから↓(Twilogです)
意識の高い学生(@omaehikui) - Twilog

所謂意識の高い学生が言いそうなことを呟いているアカウントなわけです。





ネタばらししないと話が進まないので先に書くと、


これ、実はbotです。


実は…とか言ってますが、よく見ればツイート元はtweetbot.netだし同じ発言繰り返してるしで、明らかにbotです。
一部、Webから手打ちしてる模様。
“@omaehikui”で検索するとマジレスしてる方も少なからず居るようですが…。



要は『意識の高い学生』と言われてる人、自負している人への皮肉なわけですね。
スイーツ(笑)とかに近い。意識の高い学生(笑)みたいな。


ネットを漁っていれば皮肉なんて何処にでも転がっているのですが、
今回の『意識の高い学生(笑)』という皮肉は多くの人の心に響いてしまいました。


自分が見つけてからしか分からないのですが、それでも約12時間で600だったフォロワー数が1100くらいにまで増加。
僕のツイートで紹介したところ、「面白い!」「こういう奴いるいるw」等と多くの方の共感を得、結構な数のRTで拡散していきました。


何故、『意識の高い学生』は皮肉の対象として大勢に認められてしまったのでしょうか。




◇『意識の高い学生』とは何か


まず、『意識の高い学生』とは一体何なのか考えてみます。


@ponderin5555さんの81ふぁぼがついた「意識の高い学生の特徴」というツイートによると、

  • ミーティングはMTG
  • タスクってよく言う
  • よく過去を振り返る
  • 気になるニュースとかブログをRTしちゃう
  • ドラッカー大好き
  • サンデル大好き
  • レッドブル大好き
  • とりあえずコンサル
  • 論文書かなきゃ!
  • ES添削し合おうぜ!
  • 溜まってるメールはまとめて返します!


だそうです。
多くの人がこのように捉えているということです。


属性で言えば、あくまでイメージですけど、

  • 学生団体に所属し活動している
  • 早めの時期から企業インターンに参加している
  • 何らかの交流会によく参加している

とかにあたる人が対象になっているようです。




◇なぜ意識の高い学生botはウケたか


このbotがウケた人は、アカウントを見る限り学生が多いようです。
特に大学3、4年生、つまり就活を体験し意識している世代。
皮肉対象である『意識の高い学生』が集中している世代でもあります。


彼らは、僕を含めてですが、就活で多くの学生に出会いました。
いろいろな人がいました。
その中には、「超就活してますオーラ」をむんむんに出している人も少なからずいるわけで。
そんな人達を、僕らは尊敬する一方、あまりの「学生らしくなさ」に「何やねんアイツw」と冷めた目で見ていたのではないでしょうか。


思春期の子供が大人ぶりたいのと同様に社会人ぶった(しかも勝手なイメージ)学生を滑稽に感じていた。


その土台があったからこそ、
このbotが「そんな奴いるいるww」と、
ある種のあるあるネタとして通用しウケたのではないかと思うのです。



また、この風刺がTwitterbot作成によって為されていることも重要事項でしょう。


数々の成功している企業がそうであるように、
Twitterは単一アカウントから次々に情報が発信されるため
キャラクター性がアカウントの魅力に於いて重要な位置を占めます。
それを利用し、風刺対象を1人のキャラクター化することで魅力を最大限に引き出している。


ターゲティングに関しても的確。
直接ブログでバッシングするでもなく、
2chに「意識の高い学生にありがちなこと」というスレッドを立てるでもなく、
風刺対象とウケるであろうターゲットが集まるTwitterに的を絞った。



誰が作ったbotかは存じませんが、
相当ソーシャルメディアに関して明るい人物だと思われます。




◇『意識の高い学生』は何故うまれたか


本来、『意識の高い学生』とは所謂優秀な学生なはず。


団体に依るとは言え、学生団体で社会貢献やら企業とのやり取りやらをやっている。
早い時期から自分の将来を考え企業で働いてみる。
ニュースを頻繁にチェックしている。



それが、前述のように滑稽な存在に見えてしまったのは何故でしょうか。


『意識の高い学生』という言葉が使われるのは、ほとんどが「就活」に近いコンテクスト上で使われていると思います。


特に最近、就活はニュースで取り上げられることが増えてきました。
2011年卒の内定率が6割に届かない中、2012年卒の就活が始動ーー
学生の不安は募るばかりでしょう。


「就活に意識のだから学生はもう本格的に動き回る出していますよ」、と。



しかし就活に対して意識の高い学生とは一体誰のことでしょうか?


就活イベントに沢山参加している学生?
就活塾に通っている学生?
インターンに応募しまくっている学生?


意識の高さなどと言う曖昧模糊な基準では何も計れないはず。


意識が高いという曖昧な表現によって、いたずらに不安感を煽られている。
しかし具体性がないため就活で何したらいいかわからない学生が増える。



結果、活動的な学生を無意識ながらも真似するようになり、
何も伴うもののない『意識の高い学生』が作られていくのではないかと思うわけです。


それは例えば内定してからでも変わらない。
他の優秀な内定者を見て負けじと優秀ぶるのです。



以上が今回考えてみたことです。
難しくて、途中でこんがらがって読みづらい部分も多々あると思いますがご容赦を。



この作者のセンスは本当に素晴らしいと思います。
botで中身のない空虚な学生を風刺する。
これはもう、コミュニケーションに於けるイノベーションですらあると思うのです。





追記。


このbotに関して友人とTwitterで話してたことのまとめがコチラなんだけど…↓
「意識の高い学生」botがなんで面白いか深夜に議論してみた - Togetter


このブログ書くための、自分用にトゥギャったら、


PVが4000超えました(笑)


4000とかいう値が簡単に稼げる時代なんですね…。
10年くらい前からhtmlとか書いてた人間としては恐ろしいです。