「お台場Appsラボ」を見て。


とても面白く興味深いテレビ番組があったのでご紹介。


お台場Appsラボ
お台場APPSラボ - フジテレビ


7月30日金曜日、フジテレビの25:35〜26:35で生放送。
つまりつい昨日やってた番組です。


単発番組で、前回(5月7日放送)は番組オリジナルのiPhoneアプリロンブー淳さんとつるの剛士さんが企画。
そして今回そのお披露目、という内容でした。




まず淳さんが考えたアプリが「100質」


テーマ別に出題される100の質問(10のジャンルごとに10問の二択の質問)に答え、各ジャンルで趣味・趣向が完全一致する人を探すというもの。
Twitterと連携されているので、自分と完全一致した人を実際にフォローして関わることが可能。
生放送中に実際に淳さんもプレイしていて、とても面白そうでした。



もうひとつのつるのさんが考えたアプリがセミMAPS」


5月の回では、80年代のデータが詰まったアプリを企画していたものの、権利関係で断念。
つるのさんが好きなセミ専門アプリで、目撃情報を写真で投稿するユーザー参加型セミMAPと本人直筆イラスト&音声解説のセミ図鑑を収録。
元素図鑑もヒットしているし、図鑑というカテゴリはアプリに向いていそう。





この番組、面白いと思ったキーワードは「無料」と「生放送」



そう、この2つのアプリ。
出来は申し分ないクオリティを誇っていながら無料なのだ。


今まで、テレビ番組から生まれるモバイル向けコンテンツのほとんどは視聴者にお金を払ってもらうビジネスモデルだった。


この辺りは特にテレビ朝日が強い。
ロンハーから生まれた狩野英孝50TAは着うた45万ダウンロードを突破、
人気番組アメトーークでも毎週番組でウケたギャグ等をモバイルサイトで配信する等、
積極的にコンテンツを配信し、有料会員を増やしているようだ。


フジテレビの番組でも、以前放送していたキャンパスナイトフジのコーナー内で
「MAX絵文字」というコンテンツが作られ配信されたが、これも有料だった。


テレビで紹介されるのだから当然お金を払うユーザーはいるわけで、
それを機に自社の有料会員サイトに誘導するのは、まぁ当然と言えば当然なビジネスモデル。



しかしAppsラボは違った。
番組まるごとを使って紹介したアプリを無料で公開。


もちろんこのアプリを開発した会社(ユビキタスエンターテイメント)がいるわけで、開発費を支払っているはず(MAX絵文字とは比べものにならない労力がかかる!)。
それにアプリ企画・紹介番組なわけだから有料でも購入する人は結構いただろう。



それなのに無料で公開した。
売り上げによる儲けより、ダウンロード数を最優先した方策だ。



連携させるソーシャルサービスにTwitterを選んだのも素晴らしいと思った。
フジテレビは「イマつぶ」というパクりソーシャルサービスを持っている。
上記のような今までの方法論だとイマつぶと連携するのが自然だが、ユーザー数や広がり方、iPhoneアプリの特性を考えてTwitterとの連携を選択した。



結果これらの目論見は当たることになるわけだけど、そこにはある要素が絡んでくる。
もう一つのキーワード、「生放送」である。




この番組、前回の放送は録画放送だった。
今回生放送にしたのは、そこに確かな必然性があったんだと考えられる。


通常、番組発のコンテンツはその番組のオンエアと同時もしくは直後に配信されることが多い。
しかし今回のアプリはCGM的な側面を持つため、番組内で操作する時にある程度のユーザーがプレイしてある必要があった。
そのためこの番組は生放送にし、放送前日からアプリを公開することにしたのだ。



番組制作サイドがそこまで計画していたかはわからないけど、「生放送であること」は更に良い結果をもたらした。


iPhoneユーザーにTwitterユーザーが多いこと、アプリがTwitterと連携されていること等の要因により
Twitter上でもこのアプリ(特に100質)が話題になって拡散していった。
この番組を見ずに、Twitter上で話題になって面白そうだからとダウンロードした人もいた。


ワールドカップでも感じた、リアルタイムなソーシャルメディアとテレビによる“グルーブ”である。
このことは、以前のエントリー「ソーシャルで繋がる「おうちでパブリックビューイング」 - ぬのむ日記」に書いたのでお暇があれば読んで頂ければと。



今回は更に、スタジオの淳さんやつるのさんも巻き込んで一体感的な盛り上がりを見せた。
その証拠に、番組開始時には8位だった100質のダウンロードランキングは上昇し、
8位から6位、終了直後には6位から……って、えー!?1位!!?
なんとあのハンゲームアプリさえも抜き去ってしまった。



もし「無料」でなかったらこんなことは起きなかっただろう。
「そんなアプリに○○円の価値もねーよ」と(アプリの出来に関わらず)ネット上で批判されていただろう。


もし「生放送」でなかったらこんなことは起きなかっただろう。
テレビの向こうで起きていることを他人事のように感じ、「あーはいはい。アプリ作ったのね」で終わってしまう恐れもあった。
「番組始まる1分前につぶやいちゃったよ〜」と話す淳さんになんとなく親しみも感じた。



この2要素が絡み合い、一瞬にして大ヒットアプリとなったのだ。


深夜の放送であったのにも関わらず、バズを産みアプリランキング1位を獲得。
テレビの力はまだまだ計り知れない。
翌日には、当日ダウンロードした人が友人に紹介し、更に勢いは増していくことが容易に想像できる。




きっとこの番組は、ネットとテレビのこれからを考える上で外せない存在になると思ってる。



今まで常識に囚われない番組。

小金を稼がず可能性を提示した番組。





何より印象的だったのは、ロンブー淳さんがとても楽しそうだったこと。


ロンハーの時よりも、
東大の公開収録で政治について語っていた時よりも。


きっと、テレビの新しい未来を感じていたんじゃないかなーと思うのです。






以上、番組を見た勢いで書いてみました。現在午前5時。


まだ整理しきれていない部分もあるので、意見とかコメントをTwitterで@tsurutontanまで飛ばして頂けるとありがたいです。